2008年6月2日月曜日

201

201
2008 3man Office/劇団3man
第17回桜公演


登場人物
 内田俊也 元102号室 大学生:成月朔夜
 菅野直史 元103号室 元会社員:坂田聡司
 三井輝 元101号室 大学生協職員:遊馬栄斗
 加賀逸三 元203号室 ラーメン屋店員:富士河千之介
柏律子 元202号室 フリーター:玉熊志帆
菅野敬理 菅野の妻、ガス料金検針員:南佳那
蜂須賀ゆかり 内田の彼女:鍋島美緒(劇団白芸)

 

スタッフ
作・演出:富士河千之介
音響効果オペレーター:加藤真由実
照明効果オペレーター:本多美智子
照明プラン:坂田聡司
舞台:成月朔夜・今井英太
写真撮影:村上史行
制作本部:玉熊志帆・南佳那
制作:3man Office制作本部
   「201」パートナーズ





 



ここは東京都目黒区三田。
 東京タワーがうっすら見える恵比寿ガーデンプレイス近くの丘の上にあるアパート「ひこうき雲」
 大使館の家族や外資系サラリーマンたちのお屋敷がひしめきあう街にまったく似つかわしくない二階建てのぼろアパートである。
 そしてボロはボロらしく、今日、三月三十一日を最後に取り壊されることになっていた。
 その二階。
 ここはそのアパートの一室。
 二○一号室である。

 テーマ曲
明転
 内田がビール箱(みかん箱?)を持ちながらイン
 室内中央においてから、ふーとため息
 そして、自分のかばんからペットボトルを出す
 飲む
 そのとき、轟音が二回
内田「?」
 内田ベランダのほうを向く
 そしてサッシをあけて外へ
 ベランダ
内田「!(ペットボトルを落とす)」
 そこに
菅野「おう、おまたせ!」
 菅野イン
 内田、振り向かない
菅野「遅れてごめんな。スーパーのレジがおもいっきり混んじゃって、もう大変で(ためいき)」
内田「(外を見てる)」
菅野「おーい?」
内田「・・・あ、あの!」
菅野「ん?」
内田「こっちきてもらえませんか?」
菅野「え?」
 菅野、外に出てくる
内田「(なぞの物体を指差して)あれ・・・」
菅野「ああん?」
内田「なんでしょうかね・・・」
菅野「なん・・・だろう・・・」
 そのとき、三井を先頭に柏、加賀、ゆかりがイン
 内田、それに気づいて
内田「あ、みなさん、ちょっと・・・」
加賀「なんだよなんだよ、早くのもうぜ!」
内田「すいません。でもあれ・・・」
加賀「?」
柏「なに・・・あれ・・・」
加賀「おいおいでっけーなー」
 加賀がベランダにインしようとする
菅野「うあ!」
加賀「なんだよ!」
菅野「今、ミシっていった!」
加賀「え」
菅野「底がぬけるかもしれない!」
加賀「いやいくらボロでもそこまでは(ないだろ)」
柏「思い出した!ここそんなに人入れないですよ」
菅野「そうか、俺ら一階の住人じゃわかんないなあ」
加賀「とりあえず何人乗れるかためしてみよう」
柏「はいはい!次、わたしも見たいです」
三井「ミーハーな真似するなよ」
柏「だって」
加賀「どうぞ」
柏「やった」
 柏、ゆっくり入ってくる
 そーっと足を一歩入れながら
 両足いれて
柏「ふー(自分に拍手)」
菅野「大丈夫大丈夫」
加賀「次は?」
三井「おれかな(入ろうとする)」
内田「NO! あれはなんですか!!」
ゆかり「あれは宇宙船だ(ずんずん入ってくる)」
 ミシっという音
菅野「うわ!」
ゆかり「やっぱ・・・きてるんだ・・・」
三井「おい!何者だ!」
内田「ああ!ぼ、僕の彼女です・・・」
ゆかり「あ、蜂須賀ゆかりっていいます・・・どうも・・・」
三井「住人ではないよね?」
内田「あ、いや、あの」
菅野「おれも昨日知ったんです。急に電話かかってきて、なんだろうって思ったら、彼女連れてきていいかっていわれて」
三井「話しでは、このアパートひこうき雲に住んでたやつだけを集めての同窓会って聞いていたんだけど?」
内田「すいません。どうしてもいきたいって・・・」
ゆかり「よろしくおねがいします・・・」
加賀「(ゆかりに)ラーメン好き?」
ゆかり「しょうゆとんこつなら・・・」
加賀「参加OK。(握手しながらゆれる)」
 ミシミシ
菅野「加賀さん揺らしすぎ!」
加賀「ラーメン好きに悪いやつはいない。いっしょに楽しもう」
ゆかり「あと塩たまごも好きです・・・」
加賀「いつか俺の店にきてください」
ゆかり「はい」
三井「じゃ、おれだな」
 三井ゆっくり入ろうと一歩いれるが
 大きくバリっと音
全員「ああああああ」
内田「三井さんは中で!」
三井「なんだなんだおればっかり」
柏「だってみんな死んじゃいます」
三井「失礼だなおい」
加賀「じゃ、おれは十分見たから中に」
菅野「おれも寒いから入ろ」(ふたり中に入る)
三井「代わりにおれが」
 大きくバリバリ
ベランダ全員「ああああ」
三井「おれそんなに重くない!」







 ☆2008/02/25 差し替え
菅野「こっちで我慢しましょうよ」
三井「ふん、ただの体育館じゃないか?見てなにが面白い?」
柏「でも体育館はあっちでしょう?」
三井「なるほど。でもそういえば、この辺はマンションの建設ラッシュだ。親が増えれば子も増える。増築でもしたんだろ」
内田「でもあんなとこで入学式なんかできますか?」
三井「今の子供ら、というより、このへんの親は斬新なものに興味を引く。同じような感性を持ったデザイナーが作ったんだろう」
柏「そうは見えないんですけど・・・」
三井「わかってないなあ」
ゆかり「絶対宇宙船だ・・・」
三井「ばかばかしいにもほどがある」
加賀「(中から)なあ、だれだよ~こんなにお菓子買っちゃって」
三井「うわ!サキイカにマヨネーズって、普通、するめにマヨネーズだろ」
加賀「カレーせんべいまである。懐かしいなあ」
三井「すべての犯人は、駄菓子屋でテンションあがりすぎた人」
柏「ごめんなさい!わたしです」
菅野「おお柏さんならOKOK」
柏「すいません。あ、乾杯にしません?」
加賀「そうだそうだ。のどカラカラだ」
 内田とゆかり以外、全員、中に戻る
内田「行こうか?」
ゆかり「(じっと見てる外)」
菅野「(中から)早く!」
内田「は、はい!」
 内田、強引に手をひいて、中に戻る
 ペットボトルは拾わない
 全員座る
菅野「それでは今日の幹事からひとことお願いします」
内田「あ、あの、外もいろいろおかしいですが」
三井「おかしくなんかない」
内田「あ、そうかもですが、こっちはこっちで楽しみましょう」
柏「はい」
菅野「なんつったって半年振りの再会ですからね」
三井「泡が消える、早く」
内田「はい!乾杯!」
全員「乾杯!」
それぞれ飲んだら、拍手
 そのとき轟音
内田「ん?」
菅野「どした?」
内田「聞こえませんでした?」
三井「なんにも」
内田「でも・・・」
ゆかり「聞こえた」
内田「だよね!」
柏「わたしも・・・」
三井「気にしすぎた」
菅野「ってことで気にしない気にしない」
内田「ん~、ま、いっか」
ゆかり「(じろりと内田をにらむ)」
内田「ゆかりちゃん・・・」
ゆかり「他人に流されっぱなしなところ、嫌い」
柏「(気にせず)でも、すごいですよね。あのときここに住んでた人全員集まるなんて。」
加賀「そうそう。よく集めてくれた。おれはおもいきりおまえをぼめる」
内田「ありがとうございます!大家さん口説いてみんなにはがき出した甲斐がありました」
柏「はがき来たときうれしかったあ。また加賀さんとか内田くんに会えるって思って」
内田「ありがとうございます」
菅野「おれは・・・?」
柏「(気づかず)店長に今日シフト入れられたらって思ってひやひやしてたんですから」
菅野「柏さん、おれは?・・・」
柏「はい?」
菅野「・・・はい・・・」
内田「(小声で)どんまいです」
菅野「(絶叫)きみにいわれたかないよ」
三井「やっとこさ、風呂トイレつきの部屋に移れたってのに、まさかまたここにくるとは・・・」
柏「ちょっとせっかくみんなきてるんですから」
三井「みんなじゃない。この部屋の持ち主がきてないぞ」
加賀「ああ、日野さん?」
柏「そういえば・・・」
内田「日野さんからはメールが」
柏「メール?」
加賀「そういえばはがきに内田君のメアドが書いてあったな」
内田「はがき書くのが面倒な人のためにのっけといたんですよ」
三井「はがきで来たのをメールで返すのはおかしいんじゃないの」
加賀「え?俺、メールで返しちゃった」
柏「まあそういうときもありますって」
内田「読みますね。(メール)『こんにちは、二○一の日野です。お誘いのはがきありがとうございます。』」
加賀「へえ礼儀正しい人なんだ」
内田「すごいですよね。えっと、(メール)返事遅れてすいません。都合で今日は行くことができません。みんなに会えるのを楽しみにしてたのにまたいつかお会いしましょう』」
加賀「お会いしましょうっつったってな」
三井「この中で日野さんの顔を見たことあるやついる?」
柏「うーん・・・」
菅野「おれと内田は一階だから、ますます見ない」
三井「同じ二階にいたはずなのにな」
柏「ひこうき雲三大ミステリーのひとつでしたね」
加賀「そうそう。あとなんだっけ?」
菅野「一階の奥から、女の声がする・・・」
内田「(それを聞いてそわそわする)」
三井「そんなのあったっけ?」
菅野「ああ、いっつも夜遅くになると、ごにょごにょごにょって・・・」
内田「あの・・・」
柏「(無視)こわいですよね!」
内田「あの・・・(ですね)」
三井「(さえぎって)あと一階からとんでもなく、へんなにおいがするときがあった」(内田、はいるのをあきらめる)
柏「三大ミステリーそろいましたね!」
加賀「あ、最後のやつ、実はおれ」
柏「加賀さんだったんですか!?」
加賀「いやね、おれまだラーメン屋で働いてるんだけどさ」
柏「『ラーメンどうざんしょ』ですよね?」
菅野「西口の」
加賀「ああ。で、月一回、とんこつとか鶏がら持ってきて、新しいスープの研究してたのよ」
柏「そうだったんだあ」
三井「恐ろしく臭かったですよ!」
加賀「すまんすまん。でもおかげさまでこの前社長から、ゴールデンウィーク明けにできる二号店、まかせてくれるって。」
柏「すごい!」
加賀「ま、そのためにはいろいろ条件をクリアしないとなあ」
柏「がんばってください!」
加賀「おうよ!」
菅野「『どうざんしょ』二号店できるんだあ!どこですか?」
加賀「用賀」
菅野「遠いなあ」
柏「絶対食べにいきます!」
三井「食べたら、ますますモデルにはなれないぞ」
柏「ラーメンは別腹です!」
三井「ふん」
ゆかり「あたしも・・・いって・・・いいですか?」
加賀「卵、半熟にして待ってるよ!」
ゆかり「はい!」
菅野「おれもがんばっていきますよ!」
加賀「きみには固ゆでで」
菅野「そんなあ。失業者に固ゆではつらいですよ」
加賀「あれ?やめたの?」
内田「うそ!外資系の銀行ですよね?」
菅野「おれさ、こう見えて内向的な性格でしょ?」
柏「そうですね」
菅野「え・・・」
柏「はい?」
菅野「(咳払い)あ、いや、その、行内で、ちまちまやる仕事は好きだったんだけど、上司がさあ、あれこれ干渉してくるのがいやで・・・」
内田「あは、なるほど」
菅野「なるほどってなんだよ!」
内田「すいません」
菅野「今年就職活動だよな?元の銀行には紹介できかねるからね」
内田「そんなあ。」
柏「あ、お豆腐屋さんやろうとしてません?」
菅野「よくご存知ですねえ!」
三井「おれが教えたの。」
菅野「なんだみっちゃんか」
三井「うちの卸し先から聞いたよ」
菅野「いい豆仕入れるの調べたときにばれたのかな」
内田「あ、じゃあ、菅野さんの豆腐屋さんに就職させてください」
菅野「はい不合格!」
柏「(挙手して)はいはい!彼女さんとはどのくらいお付き合いしてるの?」
三井「ミーハーすぎるぞ」
柏「だって、ね?かわいいし」
内田「もうすぐ一年」
ゆかり「半」
内田「あ、一年半」
柏「うらやましいなあ。仲よしさんで(ちらりと三井を見・・・)」
三井「(咳払い)」
内田「なんか気づいたらだらだらとここまできてしまって・・・」
 そのとき突然、ゆかり、がばっと立ち上がる
内田「うわ!だらだらってのは嘘です嘘です嘘!」
ゆかり「来た!」
内田「きた?」
ゆかり「やつらが(はけ口に向かって戦闘体勢で東西南北を見ながら威嚇する)はっ!はっ!」
三井「日野さんやっぱ来たんじゃない?」
内田「あんなメール打っといて来るんですか」
柏「気がかわったとか」
内田「(ゆかりに)ね、すわろうよ、ね?」
ゆかり「許していいの?地球の終わりだよ?」
内田「ゆかりちゃん!」
 そんなとき
 ノック
  (敬理が裏でノックする)
みんな「!」
内田「まさか!」
加賀「宇宙人が・・・」
柏「きたんですか?」
 またノック(敬理)
 ゆかり、戦闘態勢をもっと激しくする
三井「(それを見てちょっとおびえ)・・・ん、んなバカな」
菅野「ん~(なにかを思い出して)あ、はいはい」
 といいながら、はけ口に向かう
ゆかり「(菅野の腕をつかみ、投げ飛ばす)と~りゃ~」
菅野「うあ!」
内田「(菅野を助け)大丈夫ですか!」
菅野「いてて」
ゆかり「ドアをあける人間は誰であろうと許さない」
菅野「(起き上がって)だから違うって!(もみ合い)」
ゆかり「だめだあ!(もみあい)」
内田「(それをとめて)ゆかりちゃん!」
 そこに
敬理「こんにちははじめまして~」
菅野とゆかり以外みんな「(敬理を見て絶叫!パニック)」
ゆかり「で、でたな!宇宙人め!」
敬理「う、宇宙、人??????」
ゆかり「みんな!あたしにまかせて!」
内田「がんばれ!ゆかりちゃん!」
菅野「それでも男か!」
内田「うわ!よし、おれも援護射撃!」
三井「せ、せめて前線に立てよ!」
内田「だ、だってこわいんだもん」
三井「おい!」
加賀「なら、三井くん!」
三井「おれはおれは・・○○○(アドリブで断末魔の叫び)」
 といいながら失神!
柏「大丈夫!?」
内田「三井さん!三井さん!」
加賀「寝るな!死ぬぞ!」
内田「みついさ~ん!」
菅野「(我慢できずに絶叫)よ、嫁です!(といって、敬理のところへ)」
三井「(がばっとおきて)嫁?」
内田「三井さん?」
三井「(知らん顔で)内田君なにかあったかね?」
ゆかり「だまされないで!みんな!(菅野に)さては、お前も仲間の宇宙人だな!」
菅野「Not!宇宙人!」
敬理「(菅野に)ねえ、どうしちゃったの?」
菅野「大丈夫大丈夫。(みんなに)あ、紹介します。うちの嫁の敬理」
敬理「敬理です。よろしくお願いします」
菅野「早いよ~敬理ちゃん」
敬理「だって待てないんだもん」
内田「けいり・・・さん・・・」
柏「あ、あは、面白いお名前ですね」
敬理「うちのおじいちゃんがつけたんです。画数がいいからって」
柏「へえ」
ゆかり「油断しちゃいけない!宇宙人は時には精神的に迫ってくるんですよ!」
 敬理、まだ警戒しているゆかりのところにいき、手を握る
ゆかり「な、なにをする!」
敬理「こんなに手があったかくてもあたしを信じてくれない?(もっとぎゅっと握って)ほら・・・」
ゆかり「人間に寄生してたり、化けてるかもしれないし・・・」
敬理「生まれは浅草二丁目、言問通りとひさご通りの交差点からちょっといったとこ。」
ゆかり「・・・」
敬理「オムツのころから花やしき行ってるからもう庭みたいだったり・・・あ、舟和の芋羊羹と梅園(うめぞの)の粟ぜんざいなら、何杯でもいけるんだけど・・・?」
ゆかり「あ、人間だ(警戒をとく)」
三井「食い物で信じるのか!?」
菅野「(ほっとして)よかった~」
内田「あ、すいません!許してください」
敬理「いいよいいよ」
内田「僕の彼女なんです」
敬理「彼女なんだ。大事にしてあげなよ」
内田「はい!」
敬理「あ、そうだ!聞いて聞いてみんな!来る途中寒くて、コンビニでホットティ、ペットボトルで買ったの。そしたら」
 敬理、ペットボトルを見せる。
 そしてふたを開ける
 下に向ける。
敬理「空っぽなの」
内田「からっぽ・・・」
菅野「軽く飲んじゃったの忘れたんじゃないの?」
敬理「そんなことない!一滴も飲んでない!」
 そのとき
ゆかり「あれ?」
内田「どうした?」
ゆかり「(缶をふって)ない・・・」
内田「いやいや、飲んじゃったんでしょ?」
ゆかり「(激しくにらむ)」
内田「ご、ごめん・・・」
加賀「あれ?おれもないな」
三井「おれもだ」
柏「わたしも・・・」
 みんな、缶を下に降るが、中身がない
内田「ちょっと待ってください。おれらって最初の一口しか飲んでませんよね?」
三井「ああ」
菅野「そのあとは、きみの話とかになっちゃったしね」
柏「確かに・・・」
ゆかり「あたし、かってきます・・・」
内田「え」
ゆかり「勝手にさわいだの、あたしだし・・・」
敬理「あ、そんなに悪く思ってないよ?」
ゆかり「口下手だし・・・話も面白くないから・・・こういうので償わないと」
 ゆかり猛ダッシュでハケ口はける
菅野「おい内田!君は女の子にパシリさせる気か!」
内田「やべ!(ゆかりに)おれがいくって!」
 内田もはける
 がしかし
 ほっぺたをたたく音(こんにゃくを叩こうと思ってます)
内田「(絶叫)」
 内田、ほっぺたを手でさすりながらイン
内田「いたたた・・・」
三井「おつかれさん」
敬理「学生さん?」
内田「はい」
敬理「ガス料金ちゃんと払ってる?」
内田「はい?」
菅野「あ、ガス料金見るおばさん」
敬理「(菅野に鉄拳制裁)」
菅野「お、おねえさんやってるの」
内田「あ、月一回の(おばちゃんといいそうになって飲み込み)」
敬理「ガス料金とかを払わない子は、女の子に嫌われるよ?」
内田「どういう論理ですか?」
 そのとき
 がばっとゆかりイン
 ゆかりおもいきり、みんなにペットボトルを買っている
 そしてふたを開けてはないことを確認し
ゆかり「ない(あけて)ない(あけて)ない!」
 全部あけて
ゆかり「ない!」
みんな「・・・」
ゆかり「水が・・・消えた・・・かも」
菅野「そ、そんなばかな」
内田「ごめん再確認なんだけど、買ってすぐに飲んだりとかして(ないよね)」
ゆかり「ない!」
内田「はい!」
柏「ちょっと台所いってくる」
 柏、はけようとする
菅野「トイレにいってくる」
三井「待て」
 ふたりとまる
三井「ここは明日取り壊しだ。台所行こうが、トイレ行こうが、水はとっくに止まってるだろ?」
柏「そっか・・」
敬理「まって。料金滞納してるわけじゃないから、大元の元栓ひねれば水は出るはず」
菅野「そうなんだ?さすが検針員」
 そのとき敬理の携帯に着信
敬理「(電話)はい・・・え?・・・あ、わかりました。もう少ししたら行きます」
 敬理、電話を切る
敬理「ああ、なおちゃん、ごめん」
菅野「どうしたの?」
敬理「なんだかおかしいの。都内のガスが急に止まっちゃったんだって」
菅野「え?」
加賀「なんだと!」
 加賀も携帯に電話しだす
加賀「(電話)もしもーし・・・え?やっぱそっちも?」
内田「そうか!加賀さんのラーメン屋も」
加賀「(電話)くそ!そうか!水道もガスもとまってるからラーメン作れねえのか!こんちくしょう!」
 加賀電話を切る
柏「加賀さん大丈夫ですか?」
加賀「大丈夫じゃねえよ、くそ!命と金の次に大事なラーメンが作れねえって、お客さんに申し訳ねえよ」
三井「まずいな、これは」
柏「テロかなにかあったんですかね・・・」
菅野「そうだ!だれかワンセグつき携帯とか持ってない?」
 みんな顔を振る
柏「それがなくとも、ラジオつきとかないですか?」
加賀「少し前のドコモだからな・・・」
内田「おサイフケータイなら大丈夫なんですけど・・・」
菅野「なんだよなんだよ。だれもかよ」
敬理「そういうなおちゃんも、もってないでしょ」
菅野「はい」
三井「こりゃここは陸の孤島ってわけか・・・?」
 そんなとき、ふとゆかりがたつ
ゆかり「(窓の外を見ながら)やつら・・・」
 ゆかり、立ち上がって、サッシのところへ
ゆかり「おのれ・・・」
内田「ゆ、ゆかりちゃん?」
 ゆかり、おもいっきりサッシをあける
 そして外に
ゆかり「ライフラインを止めようとしてるのはおまえらだな!」
内田「(あわてて外に)うわやめようよ!」
ゆかり「あたしは、知ってるんだ。お前らが地球外生物、いや、腰抜けちゃらんぽらんだってことも」
敬理「地球外生物って・・・」
菅野「さっきからずっとああなんだ。」
敬理「(外を見て)まさか・・・」
加賀「おい、もし宇宙人がいたとしてあんなに挑発して大丈夫なのか」
菅野「それは確かに・・・」
ゆかり「これも知ってる。こんなとこにきたのは、ここに今日、あんたらの協力者が来るからだってね。」
三井「協力者?」
敬理「人間に裏切り者がいるってこと?」
菅野「まさか」
ゆかり「あたしは今日そいつを倒す!そしてお前たちもあたしがけちょんけちょんにしてやる!」
 そして床に転がってるペットボトルを拾い
ゆかり「地球上の水分を採ったつもりかい?」
 ゆかり、ペットボトルを振る
内田「あ」
菅野「あれは中身が・・・」
加賀「入ってる」
ゆかり「人間は八割が水でできているんだから!」
菅野「あれ?九割じゃなかったっけ?」
三井「どうでもいいだろ!」
ゆかり「それを抜くのは許さないよ。灯台下暗しってことわざ、よく覚えて帰りな!」
 ペットボトルを高々と掲げてみせる
 そういって、ゆかり、ぐびっと一口ペットボトルの中身を飲む
 そしてにやりと笑った瞬間
 倒れる
内田「ゆかりちゃん!」
 内田、ゆかりが床につく前に支える
 みんなもベランダへ
内田「ゆかりちゃん!おい!ゆかりちゃん!」
菅野「だ、だれか救急車を」
加賀「(携帯を出して)だめだ!携帯の電波が」
菅野「こんなときに!」
三井「そうだ!だれか衛星電話とか持ってないか!」
敬理「あ、それって携帯よりももっと強いやつだよね?」
柏「すごい!さすが!」
加賀「で、だれか持ってるの?」
みんな「(しーん)」
三井「だれももってないのかよ!」
菅野「だって確か高いよ?」
三井「うわ時代に取り残されるよ」
柏「持ってます?」
三井「もちろん」
敬理「じゃ、早く!」
三井「家に」
敬理「はあ?・・・」
三井「いやね、おれさ、大学生協の職員やってるでしょ?だからそこの組合員割引で安く買えちゃってさ」
敬理「(怒りが、ふつふつと)・・・あんたあ・・・」
 敬理、三井の首をつかむ
敬理「人の命とあんたの自慢話でどっちが優先かなあ!」
三井「なにをする!」
菅野「け、敬理ちゃん!」
三井「こんな乱暴モノと結婚だなんてあんたはつくづく人を見る目がないな」
敬理「てめえ!」
 敬理、一気に三井を飛ばす
三井「いてえ!」
菅野「(敬理をとめながら)敬理ちゃ~ん」
敬理「百歩譲ってあたしのことをバカにするのは許そう。でもうちのなおちゃんをバカにするのは許せない!」
柏「す、素敵!」
菅野「あ、ありがとう・・・」
柏「敬理さんのこと!」
菅野「はい」
 そのとき
 がばっとゆかり起きる
 そして立ち上がる
内田「よかった!大丈夫なんだね?」
 ゆかり、じろりと、内田を見る
 そして
ゆかり「やあ・・・地球人」
みんな「?」
ゆかり「私の名前は・・・ショウユトンコツ」
菅野「しょ、しょうゆとんこつ?」
ゆかり「ショウユトンコツ・シオとでもしとこうか?。この肉体の脳みそが大好物らしい。そうだよな?将来のフィアンセ」
内田「ゆ、ゆかりちゃん・・・」
シオ「私はゆかりちゃんではない!」
 ゆかり、おもいっきり、内田を放り投げる
内田「「痛い)」
柏「(かけよって)大丈夫!」
内田「あいたたた・・・」
シオ「悪いが、地球上にある水は全部差し押させてもらったよ。」
加賀「な、なに!」
シオ「ガスも以下同文」
敬理「なんだって・・・」
三井「そこのオカルトオンナ!」
 三井、ついに出てくる
 しかしちょっと腰がひけている
三井「いいかげんにしてもらえないかな?おれは昼から酒が飲める今日をおもいっきり楽しみにしてきたんだよ」
シオ「やあ『おもらしテルみん』」
三井「!」
シオ「幼稚園のとき、お化け屋敷にみんなでいって、ひとりだけおもらしして出てきたよね?」
三井「なぜそれを知ってる・・・」
シオ「それがトラウマで、怖い話や僕らの話なんかは聞く前にすべて否定することにしたよね。おもらしテルみん?」
三井「それをいうのはやめろ!」
シオ「人間、いやな記憶というものは、脳みそのはしっこのはしっこのほうに圧縮されて納品されている。グッドな記憶とバッドな記憶では後者のほうが再生スピードが速い。そうだろう?おもらしテルみん、おもらしテルみん」
柏「やめてください!」
シオ「おもしろいなあ。おもらしテルみん、おもらしテルみん」
三井「こ、このやろう!」
 三井、なぐりかかろうとする
 そのとき
ゆかり「(ゆかりに戻って)なにするんですか!」
 三井、そのこぶしを止める
ゆかり「あ、あたし、今まで・・なにをしてたんですか?」
内田「ゆかりちゃん!」
 内田、ゆかりを抱きしめる
内田「よかった!もどってきて」
ゆかり「も、もどる・・・?」
内田「そうだよ。なんかちょっとおかしなことになってた」
ゆかり「お、おかしな・・・こと?」
加賀「そうだ!おれ、ちょっと外いってくるよ!」
内田「お願いします」
加賀「はける」
 加賀、はける
内田「これでなんとか助けがよべたら」
柏「そうね」
内田「大丈夫?ゆかりちゃん」
ゆかり「ん~・・・」
三井「おい、なんで俺の過去を知っている?」
ゆかり「過去・・・」
三井「え?」
ゆかり「・・・さあ」
三井「内田くん、まじめな話し、今日のこれが終わったら一度病院に連れて行ったほうがいい。」
シオ「いくわけないだろ?おもらしテルみん」
 三井、一気に立ち上がると、無言でシオの肩に手をかけおもいきり壁際まで追い詰める
シオ「どうした?」
三井「・・・」
柏「三井さん!」
 三井、振り返る
そして手を離すとふらふらしながら中に戻る
 次の瞬間、三井、おもいきりサッシをしめる
内田「なにするんですか!」
 三井そのまま鍵を閉める
シオ「テルみん笑えるねえ」
内田「(外)三井さん!」
柏「(中)なにするんですか!」
内田「開けてください!」
三井「ちょっと頭冷やしておけ。」
柏「三井さん・・・(三井に手をそえる)」
 三井、柏の手を振り払うと身支度を整えはじめる
三井「・・・ふざけたまねだ」
菅野「みっちゃん、まさか」
三井「菅野さん」
菅野「はい」
三井「残念だ」
菅野「・・・」
三井「みんなに会える今日、楽しみにしてたのに・・・」
みんな「・・・」
三井「東口の赤ちょうちんで飲みなおして、帰るわ」
菅野「あいつらはなんとかしときます」
三井「・・・じゃ」
 はけようとする三井
敬理「逃げるの?」
三井「(止まる)」
敬理「逃げたらおもらしテルみんのまんまだよ?」
三井「(悲しい目で敬理をにらむ)」
敬理「現実を・・・うけとめようよ」
 三井、無言ではける
 その背に
柏「三井さん!」
 柏立ち尽くす
 そこに敬理がそっと手を柏の肩にのせる
柏「?」
敬理「わかる・・・」
柏「え?」
敬理「すぐ帰ってくるよ。大丈夫」
柏「敬理さん・・・」
 いってるそばから三井がイン
菅野「ほんとにきた!」
三井「・・・どういうことだ」
菅野「どうしたの?」
三井「階段おりて俺は、通りに出ようとした、でも、出られないんだ・・・」
敬理「出られないって?」
三井「水が・・・滝みたいになってて・・・ここらをずっと壁のようにしてる・・・・」
菅野「そんなこと(あるわけないよ)」
三井「ほんとうなんだ!まるで・・・この『ひこうき雲』を守ってるかのように・・・」
菅野「みっちゃん、さっきの一口でよっちゃった?大丈夫?」
シオ「(外)彼はよってなんかいない」
菅野「え!」
シオ「ここいら一帯は私たちのシールドに守られてる」
敬理「シールド?」
シオ「地球上のどんな破壊兵器を持っても攻撃は不可能だよ。ついでに攻撃してきたら、シールド内にいる人間も洪水にして皆殺し」
三井「それじゃおれたち・・・人質ってことか!」
シオ「反抗した場合はこうなるよね」
 いきなり加賀がイン
 全身濡れている
 そして右腕を押さえてる
柏「加賀さん!」
加賀「やられたよ・・・」
 加賀、ばたりと倒れる
 みんなかけよる

 ここから二画面
 ベランダ
 加賀が倒れたのを見て、シオは満足げな笑みを浮かべる
内田「加賀さん!」
シオ「ぼくたちに逆らうからああなるんだ・・・」
内田「加賀さんになにをした!なあ!ゆかりちゃんに戻してくれ!」
シオ「あせるなあせるな」
内田「あせりたくもなるわ!」
シオ「ここがあのときの国立競技場だったなら君は僕をどうしたい?」
内田「国立・・・」
シオ「そう、君が十七歳だった・・・あの冬の国立だよ。」
内田「おれが岡山から全国大会行ったとき!」
シオ「僕はキックオフのホイッスルの前から君をずっと見てた。」
内田「!」
シオ「惜しかったね!ラストのゴールを決めてれば今頃は(どうなっていただろうねえ)」
内田「決めれない!」
シオ「決めれた!」
内田「あのヘボいパスじゃプロでも決められない」
シオ「練習不足なんじゃないのお?」
内田「!」
シオ「もっともっと血を吐くくらい練習してさあ、あと一点さえ入れば優勝できて黄金の未来が見えてたわけだよね。いい大学に入れたかもしれないし、末はJリーグ!日本代表だって(なれたかもしれないのに)」
内田「黙れ!」
シオ「はは。怒った」
内田「別に今の大学でも満足してる」
シオ「練習でじん帯切ってサッカーできない今でもかい?」
内田「何でそこまで知ってるんだ!」
シオ「見てたからだよ」
内田「見る?」
シオ「きみやテルみんだけじゃない。この地球のことは僕がこの星にたどり着いてからずっとみてきた。形を変えて、命を送り出し、ずっと・・・。」
内田「そんな・・・大昔から・・・」
シオ「最終的に人間が生まれたことによって、この星は宇宙でも稀有なすばらしい生命体の集まる星になると信じていた。
なのに・・・のさばらせたばっかりに、今地球はことごとく全宇宙の星星の中で品格を失っている。・・・我々が地球の権利書を取って治めていれば・・・」
内田「地球の権利書?」
シオ「今こそ権利書を僕らが取り、水があふれる、もっと崇高で知的な星に今こそ変える!」
内田「そんなもの信じられないぞ」
シオ「探してくれ!お前なら探せる」
内田「おれなら?」
シオ「今から九十分以内に探せ!探しきれないときは・・・このカラダを・・・」
内田「待ってくれ!探すっつっても形は?色は?」
 そのとき、雷鳴がとどろき始める
シオ「(空を見て)やっぱりきたか・・・」
 内田も空を見る
シオ「あいつらのおでましだ・・・」
 ふたり、空にある大きな黒い雲に注視する
 大きく雷鳴がなり始める
 チェンジ

















チェンジ
一方そのころ部屋の中では
敬理「(窓の外を見ながら身支度を整える)傘もってくるのわすれちゃったなあ・・・よいしょっと」
 敬理、かばんを持つと
敬理「なおちゃん。加賀さんとベランダのふたりも頼むね。行ってくる」
菅野「きをつけて」
加賀「行ってくるってどこに?」
敬理「外です」
加賀「え?」
敬理「一応パートですけど、これでもガス会社の一員ですから」
柏「でも敬理さんって、管理とかされる人じゃないですよね?」
三井「そうだそれにシールドの外には出られないんだぞ」
敬理「シールドから出られないんなら、その中の人たちの安全と、それをセンターに報告して逆に外のことも知りたいし。」
柏「こんな危ないときに」
敬理「なんかあったらすぐに電話するから」
菅野「うん」
 敬理はけようとする
 そのとき
内田「(外)あけてください!」
 みんな振り向く
柏「あけてあげましょうよ・・・」
三井「・・・」
内田「あけてください!」
三井「だめだ。あいつが異常なうちは危険だ」
敬理「じゃ、せめて、内田君だけでも」
三井「あいつの彼氏な以上は連帯責任とってもらわないと」
敬理「こんなときにそんなこと追求してなんになるの!」
シオ「そうだテルみん、彼には責任などない」
三井「!」
シオ「(空を見たまま)大丈夫、君が望むなら僕はここから出ない。彼を入れてやってくれ」
三井「・・・」
柏「(窓のそばにいって)あけますよ」
 柏、窓をあけてあげる
 内田、シオを見る
内田「・・・」
シオ「早く・・・」
 内田、入ってくる
柏「大丈夫?」
内田「ええ」
敬理「さすが男の子、よくがんばったね」
内田「はあ・・・」
菅野「敬理ちゃん、行かないの?」
敬理「あ、いってくる~」
 敬理はける
内田「敬理さんは?」
加賀「おれらを守るために戦ってるよ」
内田「すごいな・・・」
菅野「なんかあいつに言われてたみたいだけど?」
内田「それが、地球の権利書を探せって・・・」
菅野「権利書?」
内田「大昔に人間たちにまかせてて、なんかそれがあると地球を動かせるとかいってました」
菅野「へえ」
敬理「大昔ってどのくらい?」」
内田「地球で命が生まれる前。シオがいうには自分たちがおれらを生み出したとか・・・」
加賀「そんなころから住み着いてるってのか?」
内田「形を変えてずっと、おれらのことを見てるって」
加賀「ってことは、死なないのか・・・」
菅野「永遠の命・・・」
三井「おいおいあんなクレイジーな奴のことを信じるのか」
内田「三井さん!」
 内田、三井に詰め寄る
内田「なんで開けてくれなかったんですか!」
三井「頭を冷やせといったはずだ」
内田「あれほど、外から助けてくれって、おれがどれだけ、ゆかりちゃんのために必死だったかわかりますか!」
三井「今一度良く見てみろあれを・・・。」
内田「(見る)」
三井「内田君の彼女だと言い張るのか。」
内田「(見つめて・・・)」
シオ「(外、にやにやしながら見つめ返す)」
内田「くそ!」
加賀「下手に刺激するのはやめよう」
内田「加賀さん大丈夫なんですか、腕!」
加賀「水の壁をぶちやぶろうって蹴っ飛ばしたら、逆にとばされちゃった」
内田「そんな・・・」
三井「あの壁は手ごわすぎる・・・」
柏「こうなったら、わたしたちだけでなんとかしません?」
三井「なにばかなこといってるんだ」
柏「だってくやしいじゃないですか!」
三井「きみがくやしいのは、加賀さんが右腕いためて、ラーメンがたべられなくなるからだろう?」
柏「それもあるけど・・・」
三井「こういう危機状態のときによくそんなことがいえるな!」
加賀「右がだめでも左腕がある」
みんな「・・・」
加賀「ひとつがだめでもなにかあるちゅうのはすばらしいこった。心配するな。なんとなかなるさ」
三井「加賀さん・・・」
内田「そうだ。おれたちはだめじゃない!なんとかしましょう!」
三井「なんとかってなにするんだ?」
菅野「(挙手)あのちょっと思ったんだけどさ」
三井「なんだ」
菅野「まずは話し合うっつうのはどうだろう?」
三井「話し合いだと?」
菅野「おれあの子って本当に敵なのか、味方なのかまだ把握できないんだよね」
三井「味方なわけないだろ?」
菅野「みっちゃんとかはそうだけどさ、さっきの話を整理してると、おれら人間を怒ったりしときながらも、地球のことは思ってるような感じがしてさあ。」
柏「案外いい子なのかも・・・」
菅野「うまくいけば事態解決するかもしれないし、宇宙人が離れてくれて、彼女にもどるかもしれないよ」
内田「それ絶対いいです!」
菅野「でしょ?おれを、人間代表の大使として、話させてくれないかな」
三井「うーん」
内田「お願いします。」
三井「よーし。大使頼んだ」
柏「がんばってください!」
菅野「柏さんありがと~。よし!(サッシを開け放して入る急にひそひそ声で)おじゃましまーす・・・」
三井「寝起きどっきりか?」
シオ「え~はずかしーきゃー」
三井「アイドルか!」
内田「ゆかりちゃん・・・」
菅野「人間代表、アパートひこうき雲大使の菅野直史と申します」
シオ「ふーん」
菅野「俺はあなたとお話したい。手助けをしたいのです」
シオ「手助け?」
菅野「先ほどおっしゃられた話、誠にごもっとも、共感いたしました。俺たちは人間ですが、つくづくその横暴さに辟易しておりまして」
シオ「たとえば?」
菅野「日本の会社を見てください!たいした苦労もしてねえやつがたまたま成績が良かったからって昇進しちゃあ、大量の金を会社からまきあげて悠々自適に暮らしています。おれみたいなチャンスを見つけられない不幸な人間はいつまでたっても救われません!」
内田「菅野さん抑えて」
菅野「いや抑え切れねえ!すべては上司と部下っていう関係性が悪い!ちょっとミスしただけで、さも仕事できねえようにいいやがって!」
柏「菅野さん!」
菅野「うわ、暴走してしまいました」
シオ「で、具体的にどう手助けしたい?」
菅野「えっと(いったん後ろを見て)あ、ちょっとお待ちを」
菅野、サッシのところに行く
菅野「前半戦終了」
柏「おつかれさまです」
三井「で、どうなんだ?」
菅野「いい感じ。これならいけそう」
柏「頼りにしてますよ!」
菅野「まかせて!」
内田「ヒーローだ!」
菅野「キムタクなんか目じゃねえぜ!」
三井「このあとどうする」
菅野「そう。ここから話をつめるから集中させてほしいんだ」
三井「わかった」
菅野「じゃ!」
 菅野、外からサッシを閉める
 雷鳴がとどろく
菅野「(中を気にしつつ小さな声で)お待たせしました」
シオ「?」
菅野「いやあ、あなただったんですか、顔知らないから、わからなかった」
シオ「なんだ?」
菅野「これであっちには知られません。これからの地球、そして世界をどう変えたいか、いつものチャット以上に熱くオフ会しましょうよ」
シオ「なにがなんだか(わからないが)」
菅野「んもう! 昨夜だって国境も言葉もひとつにして、お金は一律死ぬまで保証してあげて、地球はひとつの国に統一されるって盛り上がったでしょう。さあ、今日は生の意見をぶつけましょうよ」
シオ「お前まさか・・・」
 そのとき
 大きな雷!
ふたり「うあ!」
 そして雨が降り出す
シオ「危ない!」
 シオ、菅野をかばう
シオ「これは雨なんかじゃない!早く入れ」
菅野「うあ」
 シオに押されてあわてて部屋に戻る
 雨がけっこう降ってくる
内田「大丈夫ですか!」
菅野「いや大丈夫だけどさあもっと話したかったなあ」
柏「あそうだ!」
 柏いったんかばんに戻ると小さなハンドタオルを出す
 そのとき柏のかばんからひとつの箱も飛び出る
柏「こんなのしかないけどよければ使ってください」
菅野「ありがとう!」
三井「(箱に気づいて)なんだこれ?」
柏「(開けるのに気づいて)あ!やめて!」
 しかし三井あけ
三井「ゆびわ?」
 それはおもちゃの指輪の箱
柏「あ、あのそれはその・・・」
三井「どうしたの?」
加賀「あれ?やっぱふたりつきあってるんじゃないの?」
三井「違いますって!」
柏「え!違うんですか?」
三井「おい!」
加賀「こんなときだけど、めでたいな!」
内田「そうですよ!隠さないでくださいよ!」
三井「みんな~」
 そのとき
シオ「浮かれるな人間!」
みんな「!」
シオ「いよいよ史上最大の戦争が始まったんだよ」
内田「史上最大の戦争?」
シオ「まさに・・・地球の天下分け目の関が原さ・・・」
 そのとき敬理イン
敬理「うわ~、たいへ~ん」
菅野「敬理ちゃん!」
敬理「あともうちょっとでなんとか戻れるって思ったのに急に降ってくるんだもんなあ」
菅野「柏さん、これ敬理ちゃんに使ってもいい?」
柏「どうぞ」
敬理「(柏に)ありがと。(菅野に)ちょっとなんかこの雨変なんだよ?」
シオ「雨・・・」
敬理「そう。なんか粒がおっきくて、ドロっとしてるし(手のにおいをかいで)あ、匂う!」
菅野「あ~もう拭きにくいからじっとしてて!」
 菅野タオルで拭き始める
シオ「(突然立ち上がると)あいつに触るな!」
みんな「!」
 シオ、菅野に近寄るとはがいじめにして
菅野「ちょ、ちょっと!」
 シオ、菅野を放す
菅野「なにするの!」
シオ「おしかったなあ、ユダ」
菅野「は?」
シオ「お前さんがインターネットで話してた相手っていうのは、こいつだよ」
 シオ、菅野の目の前にタオルを出す
菅野「た、タオルじゃん?」
シオ「これに染み付いたアブラ型生命体さ」
みんな「え」
シオ「そして僕がミズ型生命体ってわけ」
菅野「そ、そんな・・・」
内田「水と油なんて・・・」
ミズ「生命の根源の水だ。水は永遠になくならない。凍っても、蒸発してもずっと地球に存在する。」
三井「やっぱりあのペットボトルの中身だったか」
ミズ「あ、テルみん、僕はさっきいい話をこいつから聞かせてもらったよ!」
三井「なんだ!」
ミズ「アブラたちにくっついて地球を変えようとしてる人間はこいつさ!」
 ミズ、菅野をおもいきり指さす
みんな「!」
菅野「ち、違う!」
敬理「な、なおちゃん、どういうこと?」
菅野「いや、チャットで知り合った人と意気投合しちゃって」
ミズ「世界征服という思想の持ち主でな」
敬理「世界征服?」
菅野「いや、世界をいっしょにするってのは将来的な話でまずはお豆腐屋さんに出資してくれるっていうからね」
敬理「なにいってるの?わかんない」
柏「菅野さんって最低ですね」
菅野「違います!」
内田「裏切り者って・・・菅野さんだったんだ」
菅野「違う!」
敬理「最初から説明してくれる?そういえば夜中よくトイレに携帯もって起きてたよね?」
菅野「ああ、あとでゆっくり話そう!」
ミズ「そのあとってときに、あの子が菅野敬理だったらの話だよな?」
ふたり「え?」
ミズ「(がっと敬理を指さして)もうすぐのっとられるよ」
敬理「あたし?」
ミズ「さっきの雨に混じった・・・アブラ型生命体に・・・」
敬理「!」
菅野「そんな!」
ミズ「菅野!人間や僕らを裏切り、アブラの野郎たちについた代償は重い・・・」
菅野「・・・」
ミズ「あと三十分もすれば菅野敬理はアブラ型宇宙人に憑依されることだろう。責任の重さを思い知るがいい」
 菅野愕然とする
敬理「ど、どうしたらいいの・・・?」
柏「なんとかならないんですか?」
ミズ「うーん」
柏「地球に昔からいる宇宙人さん同士なんですよね?だったら敬理さんを!」
ミズ「残念だがアブラとは本当に意見があわないんだ。」
柏「そんな・・・」
ミズ「ま、意見が合わないからこそなんとかバランスとってこの地球に存在してきたがね」
菅野「それでも宇宙人か!」
ミズ「アブラ派にいわれたかないわ!」
敬理「やめて!」
みんな「!」
敬理「しょうがないよ。雨にふられちゃったんだもん。」
みんな「・・・」
敬理「あ、あはは・・・くやしいなあ、あたし・・・もうすぐああなっちゃうのかあ。」
菅野「敬理ちゃん・・・」
敬理「なおちゃん、プロポーズあたしがOKした日にお互い隠し事はひとつまでって決めたよね」
菅野「・・・」
敬理「このことだったんだね。そっかあ。急に銀行辞めて、豆腐屋やるって。派遣とかバイトもするけど、将来的に何とかまとまった金が絶対入るからっていってたからさって」
菅野「・・・」
敬理「あたしの隠してることは教えない、死ぬまで」
菅野「・・・」
敬理「この体が宇宙人になって・・・あたしの記憶が消えて、なおちゃんも、ここにいるみんなも忘れて・・・襲ってきたら、遠慮なくあたしを殺して」
菅野「!」
敬理「できることなら、殺すの、なおちゃん、やってね。あたしがあたしじゃなくなってても・・・大好きだったってきっと思うから」
菅野「敬理ちゃん・・・」
敬理「三井さん、だっけ?」
三井「?」
敬理「宇宙人は隔離されたほうがいいでしょ」(そういってサッシのそばにいく)
三井「それは」
敬理「隔離・・・されちゃうね」
 そういうと敬理、ひとりベランダのサッシをあける
菅野「待って!」
 敬理、後ろ手で閉める
菅野「開けて!敬理ちゃん!」
敬理「だめ!」
菅野「話そう!もっと全部話すから!」
敬理「だめ!」
菅野「敬理ちゃん!」
敬理「へんてこりんな宇宙人に変わってくところ・・・なおちゃんに見せたくない。」
 敬理、そのまま座り込む
菅野「けいりちゃん・・・」
雨に打たれる敬理
菅野もそのままへたりこむ
三井「めちゃくちゃだ・・・」
みんな「・・・」
三井「ただの・・・昔のおれたちの同窓会が・・・なんで・・・なんでこんなことになるんだよ!」
雨はますますひどくなる
 そのとき
内田「覚えてますか・・・」
みんな「?」
内田「こんな急な雨の日でした。共同の台所、流しの上から雨漏りしてて」
みんな「・・・」
内田「大家さんにも連絡取れなくて日野さんもいなかったけど・・・俺ら四人でなんとかしましたよね・・・」
みんな「・・・」
内田「あれからみんな一気に風が通るように仲良くなって・・・だから俺はこの『ひこうき雲』が好きにっなったんです」
みんな「・・・」
内田「加賀さん」
加賀「?」
内田「三井さん」
三井「?」
内田「柏さん」
柏「?」
内田「菅野さんをなんとかしてあげましょう」
三井「おいどういうことだ!」
内田「なんとかするしかないんですよ!」
三井「菅野さんは人間を売りとばしたんだぞ!」
内田「だっておれらはここの仲間じゃないですか!」
三井「今は離れてるだろ!」
内田「離れてもひこうき雲の住人ですよ!」
三井「!」
 内田、へたりこんでいる菅野のもとへ
内田「菅野さん」
菅野「・・・」
内田「なんとかしますから・・・絶対。」
菅野「ゆるしてくれるのか」
内田「終わってから考えましょう」
菅野「え・・・」
内田「・・・敬理さんのそばにいてあげてください」
菅野「内田・・・」
内田「(窓によって)敬理さん」
敬理「(目だけ中を向く)・・・内田くん・・・」
内田「待っててください。宇宙人にはさせませんから・・・」
 内田、すっと立ち上がるとミズのそばへ
内田「権利書を教えてください」
ミズ「・・・」
内田「探します。俺が責任もって」
加賀「責任って」
内田「だって俺が・・・今日の会の幹事ですから・・・」
加賀「・・・」
内田「加賀さん言ってくれたじゃないですか。右腕がだめなら、左腕があるって」
加賀「・・・」
内田「俺にできること・・・それはサッカーと同じ・・・前に走るのみです。だから・・・どんなものか教えてください」
 内田、ミズの前で頭を下げる
ミズ「さすが人間だ。そうこなくちゃ」
内田「え・・・」
ミズ「教えてやる。(立ち上がって)権利書は本でも書類でもない。水と油が生命を誕生させた・・・人間だよ。」
内田「人間?」
ミズ「そう、君ら人間が生きていくだけで出てくる力だ。」
内田「・・・」
ミズ「人間が生まれたとき、僕らとアブラは争うことをやめ、人間を見守ることにした。そして人間にこの地球を生かしていく権利を与えた。人間がいることによって直接の争いを防いできたんだ」
みんな「・・・」
ミズ「驚かしてごめん。だから別にどこにいかなくてもいい。ほしいものはここにそろってる」
 そのとき
敬理「う・・・ううう」
菅野「敬理ちゃん!」
 みんな部屋内でサッシに駆け寄る
敬理「な、なおちゃん・・・く、苦しい・・・」
菅野「ああああ」
 菅野サッシをあける
三井「菅野さんだめだ!」
 菅野、敬理にかけより
菅野「敬理ちゃん大丈夫、敬理ちゃん!」
敬理「なおちゃん・・・」
 菅野は敬理を抱きしめる
内田「アブラ型生命体に支配されたらどうなるんですか!」
ミズ「やつらは力のみすべてを支配すると考えている。凶暴化するだろう」
内田「そんな」
ミズ「歴史上の大きな事件や戦争も、アブラが人間に取り付いてコントロールして起こしてきたんだ」
敬理「・・・な、なおちゃん」
菅野「なに、なに?」
敬理「・・・殺して・・・」
菅野「え・・・」
敬理「さっき・・・いったじゃん・・・あたしが・・・みんなを・・・地球を征服する前に・・・殺してって・・・」
菅野「そんなのわかんないよ!」
敬理「でも、あたしじゃないのに、あたしがやってるように見えちゃうんだよね、きっと・・・」
菅野「そんなことない・・・」
敬理「いやだよ。・・・あたしの知らないところで、あたしが生きていくなんて・・・。父ちゃんや母ちゃんが悲しむじゃない・・許されるもんじゃない・・・だから殺して。」
菅野「だめだよ・・・できないよ」
敬理「なおちゃんに殺されるならかまわないって」
菅野「いやだ!」
敬理「さあ(そういって、首に手を誘導する)」
菅野「・・・」
敬理「あたしは、ギュってされたら・・・結婚してからじゃなくて、友達づきあいしてるころのこと、思い出しながら・・・天国で先に待ってるから」
菅野「結婚してからのほうがいいよ!」
敬理「今はだめ。あたしのことも、夢も背負っちゃって・・・ぶさいくになってるもん。」
菅野「・・・」
敬理「さあ・・・」
菅野「だめ!(手をはずす)」
敬理「(獣のように叫び、のた打ち回る)」
菅野「もう・・・だめだ・・・」
三井「敬理さんをなんとかできないか」
ミズ「うーん・・・」
三井「同じ宇宙人同士だろ!なにかないのか!」
ミズ「彼女の中にある水と油を、乳化すればなんとかなるかもしれない」
内田「乳化?」
ミズ「中和みたいなもんさ。水と油を仲良しにさせれれば」
内田「乳化・・・なかよし、なかよし・・・」
 内田、部屋内を探し始める
 そして机の前でひとつに気づく
 そのとき
 敬理、すっくと立ち上がる
アブラ「ミズ!」
ミズ「!」
アブラ「油は常に水の上に立つ。ゆえに我々が地球を支配する。今日こそわれらに勝利の御旗を!」
ミズ「そうはさせない!」
アブラ「ミズごときがなにをした!人間たちの力と文化はこのアブラで貢献したんだ」
ミズ「ミズだって生命を救ってきたぞ」
アブラ「積年の恨み!(菅野に)どけ!」
 アブラ、菅野をどかして、室内へ
ミズ「地球の権利書はここにある。これ以上は奪わせない!」
アブラ「なら、奪うまでだな」
ミズ「水が勝つか・・・」
アブラ「油が勝つか・・」
ふたり「勝負!」
 ふたり、一気に手を組み合う
 そしてにらみあう
 そのとき
内田「かっこいい!よ!おふたりさん」
 見ると内田、サキイカにマヨネーズを食べている
三井「なにやってるんだ!」
内田「うまいなあこれ!」
菅野「ついに本当のバカになったか!」
内田「女の子同士が戦うのってかっこいいなあ。」
アブラ「ん?くそ、おれは女に乗り移ったのか、しゃらくせい」
内田「今頃気づいても遅いですよ~。そうそう。戦う前に腹へってません?」
アブラ「そういわれると・・・この体、腹がへってるな・・・」
内田「いやあ、駄菓子とかいっぱいあるんですけど、これが一番うまい!」
 そういって、内田、サキイカをマヨネーズにつけて食べる
アブラ「なんか間違ってないか」
内田「はい?」
アブラ「普通、するめを焼いてマヨネーズだろ」
ミズ「七味とかつけてね」
アブラ「よけいなお世話だ!辛いのは嫌いなんだ!」
ミズ「あら?そうなんだ~」
内田「どうです?主食としてせんべいとか食うとして、最初にまずこれ!」
アブラ「う~~~ん。見れば見るほどだんだんうまそうになってきたな・・・よこせ!」
 アブラ、サキイカにマヨネーズをつけると
アブラ「いただくぜ!」
 そういって、アブラ、サキイカを食べる
内田「どうですか?お味は」
アブラ「うーん、口の中に、イカの甘さと、マヨネーズの濃厚な卵黄の味が広がって、まろやかデリシャス・・・って・・・卵黄・・・卵黄!・・・」
内田「そう。卵黄さ・・・」
アブラ「貴様・・・」
菅野「ん?マヨネーズって」
三井「そうか!小学校の家庭科で習ったぞ」
柏「酢とサラダ油を、卵の黄身を使ってまぜていくから、とろとろになるんですね!」
ミズ「それが乳化というやつさ!」
アブラ「お、おのれ・・・」
 アブラ、内田に襲い掛かろうとするが
 脱力する
菅野「敬理ちゃん!」
 菅野、敬理を支える
敬理「あたし・・・生きてる・・・」
菅野「ああ生きてるよ」
敬理「会いたかった」
菅野「え・・・」
敬理「なんか・・・むしょうに・・・会いたかったよ」
菅野「ずっといっしょだったじゃない?」
敬理「これからも・・・」
菅野「うん・・・」
 ※2008/03/06 挿入部分
ミズ「大丈夫。これで、人間に戻れるかもしれない」
三井「かも?」
ミズ「それは、僕も試してみないと確証がもてないからね」
 そういって、ミズもサキイカにマヨネーズをつける
ミズ「(内田に)よく見つけてくれたな」
内田「体育と家庭科はまかせて。オール5だったんだ」
ミズ「そうか」
内田「ありがとうございます。いろいろ」
ミズ「この体の持ち主は、純粋なやつだ。大事にしてやってくれ」
内田「はい」
ミズ「じゃあな、フィアンセ」
 そういうと、ミズもサキイカにマヨネーズをつけて食べる。
 脱力
 内田、支える
内田「ゆかりちゃん、ゆかりちゃん・・・」
ゆかり「んん・・・ん」
内田「ゆかりちゃん!」
 内田、ギュって抱きしめる
 ゆかり、ゆっくり抱きしめ返す
三井「(ため息)やれやれ当てられっぱなしだ」
加賀「独身の俺には見てられない光景だな」
柏「独身なんですか?」
加賀「仕込みでずっとしょうゆと油のにおいがとれなくてなあ。だれも近寄ってこない」
柏「いつか必ず」
加賀「そうなるといいんだがね」
 そのとき地響きがする
三井「ん?なんだ?」
 内田立ち上がって窓を見る
内田「見てください!」
 みんな立ち上がる
大きくなる地鳴り
加賀「宇宙船から・・・」
敬理「黒いまるっこいやつがでてくる・・・」
菅野「○△■(見て)気持ち悪い・・・」
加賀「まるでスープに浮かんだラードのようだ・・・」
敬理「ラードってことは、アブラ?」
三井「おい!さっきので終わったんじゃなかったのかよ!」
そのとき爆音が鳴り響く
みんな「(悲鳴)」
 みんなぶっとぶ
 明かりも点滅する
三井「なんだなんだ!」
菅野「やつらの攻撃だ!」
 爆発
みんな「悲鳴」
敬理「ねえ、どうするの?」
菅野「ここいらは、おれらしかいないみたいだし」
柏「戦うしかないですね!」
三井「おい、なにいってるんだ!」
内田「そうです。戦いましょう!」
三井「もうちょっと冷静に考えろ!」
内田「三井さん、こんなときに冷静になってる場合じゃありませんよ!」
ゆかり「あたしにはミズの力がはいってる。」
敬理「そうね!あたしにも、あのアブラの力がまだ入ってるかもしれないしね」
ゆかり「あたしたちは戦える!」
三井「日曜朝のヒーローモノの見すぎだ。本当にばかだな!」
敬理「なにを!このインテリ!」
柏「もめないでください!」
三井&敬理「はい!」
柏「でもどうやって戦うか・・・」
三井「だれかリーダーを決めて、その人のもと戦ったほうがいい」
菅野「それいいね」
三井「だれがなるんだ?」
加賀「年上ってことでいくと俺なんだが・・・右腕が」
三井「そうだよな。じゃあ、菅野さん」
菅野「う~ん、じゃおれで(いいですか)」
柏「せんだみつおゲームで決めます!」
菅野「え!」
敬理「せんだ・・・みつおゲームって・・・」
三井「あの子はいつも二○○○年のころが青春メモリーだから」
菅野「ミレニアムミレニアム」
内田「よし!やりましょう!」
菅野「やるのか!」
内田「時間はありません!はい、輪になって輪になって」
菅野「一度っきりに一回勝負!・・・」
ここからは、せんだみつおゲーム
 で、最終的に、柏が負けてください
柏「わ、わたしが・・・リーダー・・・」
三井「世も末だ・・・」
敬理「(三井に鉄拳。そのあと柏に)がんばろうね!」
柏「は・・・はい・・・」
菅野「司令官殿!」
柏「司令官とかじゃありませんよ」
菅野「わたくし、知ってるであります。高校のとき、柏司令官は、演劇部で地区大会優勝しましたですよね?」
柏「げ、隠したい過去・・・」
菅野「あなたは仮にもリーダーであられます!こうなった以上演技でも!リーダーになりきることが!今は必要であります。」
柏「ええ・・・」
菅野「司令官殿、我々に・・・しびれるようなご命令を!」
柏「そんな!命令っていっても・・・」
内田「非常事態です!お早めに!」
 加賀と三井以外、全員直立不動の体勢
柏「えっとまず・・・内田一等兵と敬理一等兵」
内田、敬理「はっ!」
柏「携帯は大丈夫ですか?」
内田「大丈夫であります」
敬理「右に同じ!」
柏「携帯のカメラを使って、あの人たちを撮影して、外の人・・・できるだけ新聞とかテレビ局にメールしてください」
内田、敬理「は!」
菅野「なるほど!外部に知らせるんでありますね!」
柏「そうです!」
三井「おれには?」
柏「三井一等兵」
三井「ありがとう一等兵で」
柏「もしものために、携帯の地図とか使っていいんで、ここから逃げるルートを考えてください」
三井「了解!男は地図が読めてナンボだ!」
 三井も携帯をいじくる
菅野「わたくしは!」
柏「菅野三等兵」
菅野「あ、おれ三等なんだ」
柏「さきほどの行為、A級戦犯で死刑でもいいくらいですよ!」
菅野「申し訳ありません!」
柏「三等でも良かったと思いなさい!」
菅野「ははっ!でもそろそろ忘れてくださいよ~」
柏「(かぶせて)仕事を申し渡す!」
菅野「ありがたき幸せ!」
柏「魔よけ」
菅野「・・・はい?」
柏「魔よけです!」
菅野「ま、まよけって」
柏「お国のため・・・いや、我々アパートひこうき雲二○一号を守るために早く!」
菅野「は、は!」
 菅野、ドアのそばでわけのわからない踊りを始める
 ある程度踊るが
菅野「あのこんなんでいいんでしょうか・・・」
柏「いっときもやすむな!」
菅野「はい!」
柏「君のがんばりは・・・けっして・・・無駄ではない・・・」
菅野「司令官殿!」
柏「(菅野の肩を思いっきりたたいて)いこう!地球は我々の手にかかってる!」
菅野「司令官殿~」
 なきながら踊り続ける菅野
内田「こりゃまいりました~」(内田、敬理もどってくる)
柏「どうですか?」
内田「司令官殿。やつら、ものすごい数ですよ」
敬理「しゅぼしゅぼっしゅぽってとことん出て来るんだよ。カメラに収まりきらない。(携帯画面を見せる)」
柏「(画面見て)うわ・・・」
敬理「テレビ局とか新聞のおっきいところにはメールしたけどどうなるかは・・・」
柏「わかりました」
内田「ついでに日野さんにもメールしてみます」
柏「お願いします」
菅野「ああ(ふらふら)もうだめ~~~~」
敬理「大丈夫?(駆け寄り)」
菅野「死刑よりもつらかったよ・・・」
敬理「よしよし一等兵のあたしがほめてつかわす」
菅野「けいりちゅわ~ん」
三井「へ~(内田の携帯を見て)まるでボーリングの玉みたいだな。これが終わったらみんなで田町ハイレーンでも行こう」
柏「三井一等兵は逃げ道探したんですか!」
三井「もちろん」
柏「報告をしてください!」
三井「まずは現状報告だ。今このアパートひこうき雲は高さ約三メートルほど水のシールドですっぽり守られている。」
加賀「隣の小学校からも隔離はされてるよな」
三井「もちろん」
柏「続けて」
三井「水のシールドは今はがんばっているんだろうが、いつ決壊するかはわからない。それでここからは提案なんだが、見張りをつけて、シールドを監視。シールドが危険になったら全員でなるべく早くここを出る。」
菅野「逃げるってことだね」
三井「そう。ルートとしては決壊した瞬間にこの丘を下って、山手線の線路に飛びおりる。」
ゆかり「こわいなあ」
内田「隣の目黒か恵比寿に逃げろってことですか?」
三井「それもあるが、手っ取り早いのはもう一度坂を上って中目黒方向に出られる。どうだ」
柏「でもシールドが破れた時点で突撃されちゃいます!」
内田「それに中目黒とか目黒にもアブラたちがいたら・・・」
三井「ありえるがそれ以外に安全な逃げ道はない。」
柏「ここから白金のほうには逃げられないんですか」
三井「ずっとのぼりだぞ!登ってる間に追いつかれる」
柏「そんな・・・」
三井「俺の案はかなり具体的でいいだろ?いつ光があたるかわかんないモデルの仕事目指してる君よりは」
柏「!」
三井「歩合制だから安定もしてない。仕事っちゃあ田舎のスーパーのチラシとたった一回きりの読者モデル!そんなんでいつメシを食う?」
柏「西口のホルモン焼き屋でもバイトして生活支えてるでしょ!」
三井「給料全額きみの服代に消えるだろうが!」
柏「それだって勉強のひとつでしょ。モデルさんって女の子みんなの憧れにならなきゃいけないから。」
三井「(かぶせて)そんなことはモデルでメシ食えるようになってから言え!」
内田「司令官殿!」
ふたり「!」
内田「うちのツートップが仲間割れしているようではこれからが心配であります」
ふたり「申し訳ない!」
内田「内田一等兵、提案するであります!おふたりの結婚式をあげませんか!」
ふたり「え?」
三井「おい、そこまでの仲じゃないって」
柏「そうなんですか?」
三井「またそのパターンかよ」
加賀「内田一等兵!ちょうどここに指輪があります!」
柏「あ」
内田「ってことで、トップが別れないように!結婚しましょう!」
三井「待て待てよ。こんな危機的状況でやるもんじゃないだろう!」
内田「おふたりの仲も危機的状況ではないでしょうか!」
三井「こら!」
加賀「うまい!」
内田「ありがとうございます!」
三井「もう。ってかなんでこんなの買ったんだ?」
柏「駄菓子屋さんでおつまみ買ってるときにたまたま見てたらほしくなっちゃって・・・。」
三井「おれがいつかしっかりしたやつ買うよ~」
柏「いつかっていつですか!」
三井「そりゃ・・・その、この前のギョーザ騒動とかおさまって仕事に一区切りついたら(やるよ)」
菅野「おそい!おそいなあ」
三井「そうかな」
菅野「永遠の相方だと思ったその日に買わないと!」
敬理「なおちゃんはすぐに買ってくれたよ」
菅野「そういうのは秘密にしないとお~~~」
敬理「えへ」
内田「おれたちもここの部屋でいっしょに作ったミサンガしてますし」
ゆかり「はい!」
三井「待って。内田君ここにいたころに作ったっていったよな?」
内田「はい」
三井「このアパートは自分以外連れ込み禁止だろ!」
内田「やべ!」
ゆかり「うちらだけの秘密でしょ!」
三井「そうか三大ミステリーのやつもお前らだったのか!」
内田「すいません!」
菅野「くそ~!おれも敬理ちゃんを連れ込みたかったぞ!」
敬理「余計なこと言わないでいいよ!」
菅野「だってホテル代高かったもん!」
敬理「最低!こんな小さな男だと思わなかった!」
柏「まってください。わたしが勝手に買っちゃっただけですから。すいません」
みんな「・・・」
柏「司令官失格ですよね・・・こんな勝手な行動とる子がトップだなんて・・・」
 そのとき加賀が立ち上がる
加賀「三井輝、柏律子起立」
 ふたりたつ
加賀「そこに並んで」
三井「加賀さん無理ですって!」
加賀「神前じゃなくて人前結婚式だ!やるぞ!」
三井「そんなあ~」
柏「ほらしっかり立って!」
三井「君まで調子のるなよ~」
内田「あ、ご参列の皆様もおふたりの証人ってことになるんでご起立ください」
菅野「じゃ、仲人やるよ」(といって三井のそばに)
三井「菅野さんまで!」
敬理「おもしろそう~やるやる~」(といって柏のそばに)
三井「ちょっと~」
敬理「照れるな照れるな!」
ゆかり「あたしもなんかやりたい」
内田「そうだ!天使!」
三井「天使?」
内田「幸福の天使!」
ゆかり「は~い」
 ゆかり、柏と三井のまわりを天使のように笑顔で回り始める
ゆかり「あはははあははは」
内田「いいよ!ゆかりちゃんは本当に天使みたいだ」
ゆかり「ありがとう!あはははあははは」
柏「かわいい!」
ゆかり「ありがとう~あはははあははは」
三井「人前じゃなかったのか?なんで天使がいる?妖精なのか!」
ゆかり「いいからいいから~」
加賀「柏律子!」
柏「はい!」
加賀「あなたはこの三井輝を病めるときも健やかなるときも、生涯を通じて共に支えあい、信じあい、愛することを誓いますか」
柏「誓います」
加賀「三井輝!」
三井「はい・・・」
加賀「あなたはこの柏律子を病めるときも健やかなるときも、生涯を通じて共に支えあい、信じあい、愛することを誓いますか」
三井「そんな、覚悟なんかまだ決まってませんよ」
敬理「てめえ!(胸倉つかんで)」
三井「んだよ!」
敬理「男らしく!お縄ちょうだいしやがれってんだい!」
三井「逮捕かよ~」
菅野「みっちゃん!おれも敬理ちゃんと結婚してから本当に幸せになった気がする」
三井「菅野さん・・・」
菅野「本当だよ。つきあってるとき以上の幸せってやっぱり結婚しなきゃわかんない部分多いよ」
敬理「悪い部分も見えるけど、その分いいところってのがもっと見えてくる。いいもんだよ」
三井「うーん」
菅野「みっちゃん!」
内田「三井さん!」
ゆかり「テルみん!」
三井「うわ!やなこと思い出しちゃった・・・」
内田「だめだよ!それでよんじゃ!」
ゆかり「あはははあははは」
柏「三井さん、じゃない! 輝!」
三井「!」
柏「居候の身でいうのもなんですけど、わたしはモデルになるのが夢です。」
三井「さんざん知ってるよ」
柏「でもモデルになるには輝の力が必要なの!」
三井「え・・・」
柏「結婚してわたしのマネージャーになってください!」
三井「!」
敬理「かっこいい!」
菅野「ぎゃ、逆プロポーズだあ!」
三井「ちょっと待てよ!おれは大学生協で働く契約社員みたいなもんだぞ!芸能界のことなんてひとつも知らないし!」
柏「衛星電話とか流行に一番敏感でしょ?」
三井「そりゃそうだけど・・・」
柏「流行をいち早く捕らえてくれる人が必要なんです」
三井「そんな人は業界ってやつにごまんといるだろ!」
柏「・・・」
三井「正直おれには・・・君を支える・・・勇気がはっきりしない・・・」
柏「はっきりしなくてもいい!絶対一緒に支えるから!」
三井「!」
柏「いつでも・・・どんなときでも・・・」
 三井、体勢を整えると
三井「加賀さん!」
加賀「・・・」
三井「誓います!」
敬理「(絶叫)お前は男だい!」
三井「うお~~~~~~」
加賀「指輪の交換を!」
ゆかり「(指輪の箱を持ってきて)どうぞ~」
内田「あ、カメラのある人はぜひ前に!」
みんな「はい!はい!」
 みんな、写メを出してスタンバイ
内田「お願いします!」
 三井、柏に指輪をはめる
 そして柏、三井に指輪をはめてやる
菅野「はいこっちにみせてください~」
ふたり「は~い」
ふたり記者会見のよう
 みんな撮影。
敬理「(撮影しながら)新婦の方もっとにっこり~」
柏「こうかしら?(にっこり)」
敬理「はいは~いありがとう!」
菅野「(撮影しながら)はい新郎びびってる」
三井「余計なお世話だ!」
内田「じゃあ、誓いのキスを!」
柏「え!」
三井「無理だって!」
菅野「はい!チュー!チュー!(続けてあおる・・・)」
みんな「チュウ!チュウ!」
 ふたり嫌がるが、顔を近づける
 キス寸前!
 そのとき
 爆音
内田「こんなときだっての忘れてた~」
三井「くそ!もうちょっとだったのに!」
菅野「キスする気まんまんじゃん!」
 ゆかり立ち上がって
ゆかり「シールドが・・・」
 みんな立ち上がって
みんな「ない!」
三井「そんな」
加賀「あんなに強そうなシールドだったのに・・・」
 菅野ベランダに出て
菅野「うあ!」
内田「どうしました!」
菅野「一階の半分くらいまで黒いアブラで」
内田「え」
三井「ってことは・・・逃げるどころか・・・完全に包囲されたな・・・」
柏「どうしよう」
三井「君が結婚式なんか参加してるからこうなるんだ!」
柏「なんですって!」
三井「そうだろ!俺が見張りをつけて監視しろってあれほどいったじゃないか!」
敬理「もう済んだことはいいじゃない!」
三井「よかない!これは司令官である君の怠慢だぞ!」
柏「そんな!」
 そのときメール着信
内田「司令官殿!日野さんからメールです!」
柏「報告!」
内田「はっ!(メール)みなさん大丈夫ですか!」
菅野「大丈夫じゃないよ~」
内田「(メール)アブラ型宇宙人がそこや日本だけでなく世界中で出現しているみたいです。軍や日本では自衛隊が出動してますがなにも手を出せない状況です。」
加賀「そうだ!アブラには卵黄がきくんだよな」
内田「それメールするの忘れてた!」
敬理「あたしが助かったくらいだもん。なにか役に立つって」
内田「はい!(メールを打ち始める)」
菅野「これで少しはなんとかなるかもしれない」
三井「でもその前に、ここが崩れたらどうするんだ?」
菅野「え」
三井「このアパートはただでさえボロだ。完全に包囲されてるとなると、やつらの圧力でいつ一階がぶっこわれるか」
菅野「そんな・・・」
 そのとき
内田「ゆかりちゃん」
ゆかり「なに?」
内田「水にのったられたとき、どんな気分だった?」
ゆかり「ん~、ずっとなんか水のなか泳いでる感じ・・・」
内田「よし!敬理さん!」
敬理「ん?」
内田「アブラにのっとられましたよね?そのときのこと覚えてますか」
敬理「うーん、苦しくてあまりよく覚えてないけど、なんかいろいろ言って、なおちゃんふっとばして、ゆかりちゃんと対決したような・・・」
内田「よし!」
三井「おい、さっきからなんだ!」
内田「あのふたつには意思があります。意思があるってことは喜怒哀楽があるってことです」
三井「確かに」
菅野「おお内田らしくない頭の冴え方だ」
内田「ってことは、今、アブラは喜怒哀楽の怒、怒りで動いてる」
三井「水と戦って地球を征服しようってくらいだからな」
内田「そう。だから・・・」
内田、無言でサッシをあけて
内田「司令官殿~」
柏「はい?」
内田「モデルさんが夢ですよね?」
柏「そうですけど・・・」
内田「目をつぶって」
柏「はい・・・」
内田「さあ想像してください!ここは夢の都、パリ!」
柏「パリ?」
内田「柏さんは夢がかなったんです!一流ブランドのパリコレ!ファッションショーの現場だ!」
柏「うん・・・」
内田「たくさんのモデルさんが行った最後!大トリのモデルが柏さん、あなたです!」
柏「そんな!」
三井「なにするんだよ!」
内田「(三井に)見ればわかります!さあ。柏さんいよいよ出番です!」
柏「はい・・・」
 柏、目をつぶったまま立ち上がる
 音楽が鳴る
内田「ホルモン焼き屋さんのバイト・・・つま先から血が出るくらいのウォーキング!それを乗り越えて今やっときた夢の大舞台!」
柏「(表情がだんだん弾きしまる)」
内田「そばには一番大切な・・・三井さんもいます」
柏「そうなの?!」
内田「(三井に小声で)応援してあげてください」
三井「(内田に)おおわかった(柏に)律子・・・」
柏「輝・・・」
三井「律子なら・・・できる・・・」
柏「はい!」
内田「さあ、目を開けて・・・」
 柏ゆっくり目を開く
 その目はすでにモデルの目
 ぎらぎらと前を見る
内田「敬理さんDJよろしく!」
敬理「ええ!んもうOK!レディース、エンド、ジェントルメン!ラストモデル、イズ、リツコ~カシワ!フロムジャペ~ン」
内田「ヒア、ウィ、ゴウ!」
 音楽イン
柏、おもいっきりすっと奥に立つ
 そして、モデル歩きで一気にベランダまで歩く
 ジャケットを(着てる、つもり?)でばさっとしてターン
敬理「チェケナ~ウ」
内田「ギャラリーの皆様!シャッターチャンスです!」
 柏、ジロリとかっこよくにらむ
アブラたちが騒ぎ始める
菅野「やった!楽しんでるみたい!」 
内田「よし!加賀さん!」
加賀「ん?」
内田「『どうざんしょ』に電話してください?」
加賀「なにしろってんだ」
内田「今から合図します。合図したらラーメンにつける味付け卵とかをアブラに投げつけてください」
加賀「それはお客さんに出すもんだぞ!食い物を粗末になんか」
内田「ラーメンと人の命どっちが大切ですか!」
加賀「んもう~わかった!(電話)もしも~し・・・」
 加賀、電話かける
柏「(もどってきて)こんなんでいいの?」
内田「最高です!ギャラリーも楽しんでますよ!」
三井「まだやるのか!」
柏「ちょっと息切れが・・・」
内田「もう一周!」
柏「わかった。でもどうしよう、次の衣装、衣装・・・」
 柏、今度はゆかりのコートをもって
ゆかり「それ、あたしの」
柏「貸して!」
ゆかり「まって~」
 先に柏がウォーキングする
 あとからゆかりも歩いてしまうので
敬理「お、オーケー、ダブルモデル、ユカリ、ハチスカ~」
ゆかり「ええ~どうすりゃいいの~」
内田「ゆかりちゃん!Y字バランス!」
ゆかり「できないって」
内田「途中まででもいいから!」
ゆかり「え~」
 柏、ゆかり、ベランダの先端にいく
 柏おもいきりジャケットプレイで決める
柏「きまった・・・!」
 同時にゆかり、中途半端なY字バランス
ゆかり「はい・・・」
 歓声が最高潮に達する
柏「戻りましょう」
内田「いまだ!加賀さん!」
加賀「よし!卵をなげつけろ~」
内田「よし!みんなあつまって!」
 全員、集まる
内田「叫んでください!」
三井「え?」
内田「アブラと水に伝えるんです!おれら人間の叫び!生きてるっていう叫びを!」
三井「勢いだけじゃなんにもできないぞ」
内田「早く!」
柏「(絶叫)スーパーモデルになります!」
三井「(絶叫)パリの次はニューヨークでショーやるぞ!」
菅野「(絶叫)日本で一番おいしい豆腐屋さんになってやる!」
敬理「(絶叫)その豆腐屋さんの女将になる!」
加賀「(絶叫)ラーメンでみんなに幸せを!」
ゆかり「(絶叫)俊也のいいお嫁さんになってやる!」
内田「(絶叫)ゆかりちゃんをもっと笑わせてやる!おれたちは・・・」
みんな「(絶叫)生きてるぞ!」
 内田、マヨネーズを取って
内田「うおーーーーーー」
 と叫びながら真ん中から、アブラたちに注ぎ込もうと
 天高くマヨネーズを持って入れようとする
 そのとき
 遠くから戦闘機の音
内田「(止まる)ん?」
菅野「なんだ?」
三井「なんか後ろからクリーム色のやつを降らせてる」
 メール着信
内田「日野さんからだ!(メール)マヨネーズ、大量投下中!」
三井「あれはマヨネーズなんだ!」
敬理「こっちに来る!」
柏「部屋にはいって!」
 ベランダにいる人間、転がり込む
 戦闘機の音、マックス
 みんな部屋の中で耐える
 音が小さくなる・・・
 ゆっくり起き上がる内田
内田「ない・・・」
菅野「え・・・!」
内田「みてください!」
菅野「マヨネーズだらけだ・・・あは」
三井「ってことは・・・」
みんな「やった~~~~」
 手を取り合って喜ぶ全員
三井「なあ、みんなで飲みなおさないか」
菅野「いいねえそれ!」
敬理「あたしも最初から飲みたい~」
柏「じゃあ、準備準備」
ゆかり「手伝います」
 テーブルを持ってくる
 そして、みんなでそれを囲む
菅野「それでは、今一度、幹事からお言葉を」
内田「えっといろいろありましたがみなさん怪我もなくお日柄もよろしくて」
三井「泡が消える。早く」
敬理「泡ってビールじゃないでしょ?」
三井「あ!」
敬理「うるさいなに?」
三井「これさ・・・中身はいってないんじゃない?」
みんな「あ!」
 缶を振る
菅野「やっぱ・・・」
柏「ないですね・・・」
ゆかり「あたしかってきます」
敬理「いいよ。あたしが買ってくる」
菅野「ならおれもいくよ」
三井「おれも」
柏「おつまみも買わなきゃですね!」
ゆかり「いってくるね」
 みんな行こうとする
内田「これでいいのかな・・・」
ゆかり「え・・・」
みんな止まる
内田「ここで喜んでいたら・・・また、おれたちが人間が・・・地球でのさばっちゃわないかな・・・」
みんな「・・・」
 そのとき
 大きな破壊音
 内田、サッシに駆けつける
内田「ベランダが・・・」
 みんな駆け寄る
菅野「落ちた・・・」
柏「わたしの舞台が・・・」
ゆかり「マヨネーズだらけ・・・」
三井「そういえばここ、明日、取り壊しだったな・・・」
菅野「すっかり忘れてたなあ」
柏「あたしたちのひとつの時代が、消えちゃうんですよね・・・」
内田「ひとつの時代かあ・・・」
 三井立ち上がって
三井「ベランダの柵がとれたから・・・東京が全部見えるなあ・・・」
菅野「ここってこんな景色だったんだね・・・」
 みんな、だまって景色を見る
内田「なんか素直に乾杯していいんですかね・・・」
みんな「・・・」
内田「またみんなが忘れたころに、水と油が怒って戦争しないかな・・・」
加賀「大丈夫だ」
内田「・・・」
加賀「他のやつらが忘れても、おれたちは覚えてる」
内田「・・・」
加賀「誰かがのさばり始めたら、おれらで説教たれてやれ」
内田「それだけでいいんですか?」
加賀「今の今だ。俺たち意外にも、必ず説教するやつはいるよ・・・生きてるんだろ?人間みんな。」
内田「・・・」
加賀「ってことで飲みなおし飲みなおし」
内田「加賀さ~ん」
加賀「よし、買いに行こうみんな」
みんな「は~い」
 内田以外、みんなハケる

 内田、ひとり残る
 外を見る
内田「生きてる・・・か」
 内田、なにかを思う
菅野「内田、行くぞ~」
内田「はい!」
 内田、マヨネーズを置いてはける

  マヨネーズがある。人間には。
 END